日本液体微粒化学会とは

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会長ご挨拶

SOKEN 調 尚孝
(株)SOKEN 調 尚孝

 日本液体微粒化学会は1991年に創立以来,小規模ながらも学会としての体裁を整え,学会・産業界にその活動・存在を認知されてきました.このように継続・発展できたのもこれまでの会員各位のご協力と,会員をまとめる歴代会長・副会長・理事の皆様の献身的努力の賜物と考えます.このたび大黒正敏前会長の後任として2017-18年度に第12代目の会長に就任することになりました.浅学非才ながらも本会の発展にために任を果たそうと決意しております.まずは今日まで本会の発展に多大な功績を残されました歴代の会長のお名前を記し(敬称略,ご所属は当時),深甚なる謝意を表したいと思います.

①1991-92 永井 伸樹(東北大学)
②1993-94 廣安 博之(広島大学)
③1995-98 橋本 弘之(東北大学)
④1999-00 藤本 元(同志社大学)
⑤2001-02 中島 健(神戸大学)
⑥2003-04 徳岡 直静(慶応義塾大学)
⑦2005-06 徳岡 直静(慶応義塾大学)
⑧2007-10 稲村 隆夫(弘前大学)
⑨2011-12 千田 二郎(同志社大学)
⑩2013-14 西田 恵哉(広島大学)
⑪2015-16 大黒 正敏(八戸工業大学)

歴代会長が全員アカデミアご出身であることに対し,私は企業出身でありこの点からも任期年度には本会の活動に対して変革が期待されているものと自覚しております. 私と微粒化との関わりは会社入社時に遡ります.棚澤泰先生にお会いしご指導いただいたのも入社直後でした.担当が自動車用電子制御式燃料噴射弁の開発であったため長年燃料の微粒化に携わってきました.今でこそ微粒化研究には高速度カメラや光学式粒径測定装置という高性能な計測器が開発されそれを使用した研究成果がシンポジウム等で議論されておりますが,私の入社した頃は噴射サイクルに一枚の噴霧画像しか得られないストロボ光同期撮影や,表面に特殊な液を塗ったプレパラートガラス上に噴霧を受け止め拡大投影機で粒径解析するという方法(受止法)が主流でした.高圧になるとストロボ光では噴霧液滴が流れて不鮮明となり,受止法では間欠噴射弁の噴霧粒径計測の繰り返し精度が劣るといった根本的な問題に四苦八苦してきました.このため当時,本会主催の微粒化シンポジウムの前身である「液体の微粒化に関する講演会」の論文集を読み漁ったのが本会との出会いです.ストロボ光撮影や受止法については原始的過ぎる技術ではありましたが、おかげで燃料で皮膚がかぶれるほど数多くの噴霧を肉眼で凝視しましたし,実現象をじっくり肉眼で見て素朴な疑問を持つということはどんなに科学技術が進んでも利便性を越えたところの研究への普遍的かつ大切な取り組みの出発点と考えています.

 さて,本会における私の運営方針を述べたいと思います.
前年度からの継続事項も含め大きく6項目を掲げます.
1)学会会員数の増強
2)規程類の整備
3)学会員へのサービス向上
4)産学連携の一層の強化
5)アカデミアへの研究資金助成支援
6)国際学会との協調と連携

 1)「学会会員数の増強」について
 学会会員数は一時期300名を超えていましたが長期に漸減傾向にあり現在2百数十名前後です.これに歯止めをかけ,さらに増加に転じるような施策を打ちたいと思っております.加えて維持会員の増加についても企業に働きかけを行っていきます.
本会の会則第2条にありますように,使命のひとつは科学技術の振興にあり,その使命を果たすには,将来ある若い学生・技術者に入会していただき,会員相互および国内外の液体微粒化研究組織との交流をはかるために,学会誌,シンポジウム,セミナー,研究会等のさまざまな機会を通して液体微粒化の技術を継承する人材育成を行うことに尽きると考えています.
 2)「規程類の整備」について
 本会の歴代執行部のご尽力によりかなり学会としての規程類は充実してきましたが,円滑な本会運営遂行のためさらなる規程類の充実・整備が必要であると考えています.会員数の多い他の理工系メガ学会のレベルに近づくべく,重要な部分から規程類を充実・整備していきたいと思います.
 3)「学会員のサービス向上」について
 本会の主要事業であります微粒化シンポジウム,微粒化セミナー,会誌「微粒化」,研究部会所属第3研究委員会のさらなる内容充実をもって会員へのサービス向上としたいと考えています.毎年12月に開催される微粒化シンポジウムは,国内で唯一の液体微粒化に関する専門の講演会です.種々の研究分野の研究者・技術者が微粒化をキーワードとした学会に集まり,研究発表と情報交換,人のネットワークを作ることは,液体微粒化の技術の進展にとって非常に有意義です.また,技術懇談会も学生会員も含めた若手が気軽に情報交換できる雰囲気を持っています.微粒化セミナーは,日本エネルギー学会が主担当,日本液体微粒化学会が共催の形で開催する講習会です.微粒化の基礎から応用まで,さらには計測器関連企業のご協力も得て実習も取り入れての講習会が毎年1回企画・開催されています.これから微粒化研究を志す学生,若手技術者のご参加をお願いいたします.会誌「微粒化」は国内唯一の微粒化の専門誌であり,年3回刊行され,論文,解説,学会報告などの微粒化情報が網羅されています.ILASS-Internationalの論文集「Atomization and Sprays」と合わせて,微粒化研究,技術情報のソースとして活用していただくともに,会員の皆様のご投稿も併せてお願いいたします.また,本会研究部会所属の第3研究委員会は,「微粒化と噴霧プロセス技術の高度化に資する国内外の会議や論文で発表された最新および優れた研究成果や技術情報を広く学会会員へのサービス向上を目的として情報提供する場」として活動していきますのでぜひご参加をお願いしたいと思います.
 4)「産学連携の一層の強化」について
 本会研究部会所属の第1研究委員会(微粒化研究会)は,2011年からは企業から参加負担金をいただいて運営する委員会として精力的に活動してきており,研究委員会に登録した大学に所属する研究委員と企業委員とで構成されています.委員会で合意したテーマを研究委員が計画的に研究推進し,その進捗や成果を研究会で報告し,企業委員と研究委員が活発な討論を繰り広げる場となっております.年度毎にその内容を確実に深化させていきますので,未加入の企業会員におかれましてはぜひともご参加をご検討いただければと思います.
 5)「アカデミアへの研究資金助成支援」について
 本会研究部会所属の研究助成審議会では,「本会の発展に寄与し,噴霧・液体微粒化技術,粉体・造粒技術等の進歩に貢献する研究課題,あるいは若手研究者による萌芽的な研究課題を対象とし本会がその研究費用を助成することによってこれを推進しひいては微粒化技術の発展に資すること」を目的として,研究テーマの公募とその審査による採択を行っています.比較的少額の支援にはなりますがご関係の研究者におかれましてはぜひとも応募いただきたいと思います.
 6)「国際学会との協調と連携」について
 国際交流に関しては,本会が継続的にアジア各国の液体微粒化学会(ILASS-Korea,ILASS-Taiwan,ILASS-China)と連携していくことも重要課題のひとつです.本会では,千田二郎先生(同志社大学)が会長当時に国際部会を立ち上げられて以降,ILASS-International会長に当時就任された新井雅隆先生をバックアップする体制と国際連携体制の強化が行われてきました.一昨年の総会で報告しましたように,ILASS-Asiaには新たにILASS-Indiaが加わり,早速ILASS-Asia Conferenceが2016年にはインドのChennaiで開催されました.2017年には韓国済州島でILASS-Asia Conferenceが開催されます.この準備に当たってはILASS-Japanとしても最大限の協力をしていく所存ですが,何よりも会員の皆様の多数のご投稿ご参加が成功の鍵を握っていますので,なにとぞご協力をお願いします.さらにはILASS-Asiaだけでなく,ILASS-Americas,ILASS-Europeとも密に連携し,各Regional ILASSからの情報を本会であるILASS-Japanの会員に伝達していきたいと思います. また2018年には米国ChicagoのIllinois大学でICLASSが開催される予定です.

 最後に,本会の2017-18年度の体制をご紹介します.少しずつではありますが,組織が若返り実行能力と活気ある体制として,会員にとって有益な活動が展開できると確信しております.あらためまして会員皆様のご指導ご支援を賜りたくお願いを申し上げ結びといたします.

2017-18年度 日本液体微粒化学会 会長・副会長・部会長・会長直属委員会・監査(敬称略)
■会 長                 調 尚孝((株) SOKEN)
■副 会 長             森吉泰生(千葉大学)
                         赤松史光(大阪大学)
■顧 問                 新井雅隆(東京電機大学)
■総務部会部会長   林 潤(大阪大学)
■出版部会部会長   玉木伸茂(近畿大学)
■広報部会部会長   大嶋元啓(富山県立大学)
■事業部会部会長   小橋好充(北海道大学)
■研究部会部会長   西田恵哉(広島大学)
■国際部会部会長   河原伸幸(岡山大学)
■国際賞創設検討委員会委員長
                          大黒正敏(八戸工業大学)
■棚澤賞管理委員会委員長
                          永井伸樹(元東北大学)
■監 査                 住田 守(三菱電機 (株))
                         松浦一哲(JAXA)